人気ブログランキング | 話題のタグを見る

クラシック音楽、小田和正、資格試験、医療記事批判などなど幅広い(節操のない)ブログ


by shy1221
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

メインブログ

shy1221のメインブログはhttp://d.hatena.ne.jp/shy1221/です。
このエキサイトブログは、写真系記事をアップする他、最近は謎の医療ドラマを掲載中です。
# by shy1221 | 2010-12-21 20:03 | 近況
第1話
第2話
第3話
第4話
第5話
第6話
第7話
第8話
第9話
第10話
第11話

<コンセプト>
のりのり 『ちょっとストーリーが変わっちゃうかも知れないけれど、ヒロインに1クール3ヶ月のうちしばらく入院していてもらうなら、SLEになって膠原病内科はどうです?悪魔の薬ステロイドを内服する病気。入院生活はある程度落ち着いた後は基本的には結構ヒマなはず。病院内探検にはもってこいです。結婚話が壊れる可哀想な同室者、学校の留年が心配な高校生同室者など、美人で幸薄い脇役でサブストーリーが作れます。「私はこんなに元気で仕事もできそうなのに、何で入院してなきゃならないのよ」「ステロイドについての説明ってこれだけ!」と正義感あふれるヒロイン。特定疾患の診断書の山をふーっと言って片付けている主人公。外来で「これも特定疾患扱いで処方してよ」とのたまうおば患者。あっ、でも膠原病内科だと、わかりやすい急変がないかな。劇症型のAPSで死んでしまうとかカリニか、HPSじゃ、見ている人にはわかりにくいかな。』 (2007/02/23 15:33)
<注:配役はイメージですので、決して御本人に許可を取ってるわけじゃありません。(当たり前か)>元記事はこちら

<タイトル由来>
# のりのり 『shy1221編集長さま!今日、外来中にひらめきましたわ。安直ですが、「ウィズドロワル」ってどうでしょうか?クラノスケにとってはウィズドロワルはsteroid withdrawal syndrome ですが、withdrawal は一般的には薬物などからの離断をあらわすわけで、マサミ父にとっては、マサミからの急激な別れによって禁断症状がでてしまったということになります。で、英語のフツーの辞書でwithdrawを引くと、軍隊を引き上げるとか、訴訟を取り下げるときに使う表現でもあるようでした。ちょっと安直の感はありますが、いかがかしらん。』 (2007/03/12 20:38)
元記事はこちら
# by shy1221 | 2007-12-20 00:00 | TV、ドラマ、映画(冬ソナ以外)
第11話 最終回スペシャル
編集部。デスク「“ある産婦人科医の死”反響いいね。オレが言ったとおり、春まで待ってよかっただろ。ハイリスク妊婦を扱う最前線の病院で中堅医師が過労死した。彼の父親は産婦人科の開業医だったが、気力の限界、と産科をやめることにした。彼の弟はそれまで働いていた地方の病院をやめ、都内の病院に移った。弟の後任はなく、その病院は産科を閉鎖した。実話だけれど、象徴的だよ。年齢階層別の産科医数とか分娩取り扱いをやめた施設の数とか、客観的なデータも揃えてある。ヨシノくんの力作だ。ほかでも、後追い企画はじめたみたいだけれど、これ、何か賞いけるぜ」
ヒロイン「でも、最後のフレーズだけは、ちょっとー、なんだけど、デスク」
デスク「彼が勤務していた◎◎総合病院は今、急性薬物中毒で死亡した高校生についての訴訟でゆれている、ってヤツか。医療ミスって書いてないだろ。あの一言を加えたことが、いろいろ大切なんだよ」

クラノスケ外来の診察室。ヒロインの診察が終わるところである。
クラノスケ「あっ、それから、ヨシノさんはよく知ってるとはおもうけど、まあ、あって、ボク、5月いっぱいで大学に戻ることになって、来月から診察医がかわります。○○センセイっていって、ボクの2こ下の学年。ちょっとイイ男だから、期待しててください」と少し寂しそうに言う。
ヒロイン「そうなんだ」
クラノスケ「いろいろ時間とられるから、この病院だとちょっときついし、少し休んだ方がいいって言われて、6月からは、ねずみさんの主治医。昔、大学院のときに研究してたテーマがあって、それの続きやれって」
ヒロイン「あたしの主治医でなくて、ねずみの主治医ね。ねずみ、文句言わないし、可愛いよ」としんみりしてしまう。ヒロイン、はっと思いついたように、バッグから名刺を取り出して、もう、医者と患者じゃなくなるんだから、今度ご飯でも食べようよ、と言い出す。クラノスケの反応はいまひとつである。ヒロインの横でおばさんナースが「何だ、コイツ」という表情をしている。

夜のバー。デスク「第1回口頭弁論まであと3週間か。どこをどう攻めてくるのかな。某巨大掲示板でも、最近はあまり書き込みないみたいだしさ、っていうか、燃料多すぎで次から次へ事件、訴訟だし。クラノスケセンセイ、元気か?」
ヒロイン「うん、会う機会なくなっちゃったからわからない。最後の診察のとき、名刺だして、ちょっとナンパみたいにしたんだけど。電話も来ないし。どこまで、関わっていいかがわからないのよね」

夜の透析クリニック。クラノスケのバイト先のようである。クラノスケは英文の文献を読んでいる。手帳のポケットにはさんであった名刺を取り出して見ている。ふーっとため息をついて、名刺を元に戻す。再び、英文の文献を読み出す。

JJ学院の一室。マサミの父、シスター穂刈、養護教諭、ほかに担任だったと思われる教諭。テーブルの上には紅茶とクッキー。
シスター「今日はお会いできてうれしいです。私の前にマサミさんがいるようです」
養護教諭「わたしはとても心にひっかかっていました。マサミさんは中学の頃から、保健室にはよく来ていました、正直言ってサボリかなって思うこともあったけれど、私は彼女から慕われていたような気がして、私にとっても彼女がやってくることはイヤではありませんでした。去年の夏、足にぶつぶつができた、と言ってやってきました。近くの皮膚科に行ったけれどよくわからないといわれたと言っていたので、学院の近くの◎◎総合を受診したら、といったら、あっという間に入院になってしまって、私もびっくりしました。退院してからは、疲れた、と言っては、ときどきやってきて、私たちはお茶を飲んだり、お菓子を食べたりしてすごしました。中学の頃は、○○看護大に行って保健室の先生になろうかな、なんていっていたけれど、退院してしばらくたってからは、勉強して医学部に進みたい、なんて話してくれました。あの日は、いつものようにやってきて、またサボリかな、なんて思っていました。ベッドで寝ていていいか、とマサミちゃんが言ったので、いいわよ、と答えて私は保健室を離れていたんです。…..」涙声になって続かない。
担任「無口で、自分が考えていることを自分から言い出すようなことがない子でしたけれど、心のやさしい生徒でした。学院は昔はのんびりしたところがあったけれど、今はだんだんと進学成績を気にされる保護者の方が増えてきて、求められるものも増えてしまい、人に勝つ、なんてことを考えるような生徒も増えてきています。プライドが高い女の子同士の世界で何ヶ月か不在の期間があって戻ってくるというのも、大変だったのかもしれませんね」

ひとり暮らしとなってしまったマンションで、缶ビールを飲んでじっと目を閉じるマサミの父(小木茂光)。

編集部。ヒロインに電話。クラノスケからである。新しい実験をはじめたので、医学最前線ということで取材も兼ねて研究室に遊びに来ないか、と。よろこんで、とヒロイン。

大学研究室。白衣をきてぼさぼさの頭をした女(寺島しのぶ)が実験装置をいじっているところへ、ヒロインが登場。「あのー、クラノスケセンセイって……」
白衣女「クラセンセイ、お客さん、美しい女性のお客さん」
クラノスケ登場。診察室で最後に会ったときよりは元気そうである。

研究室を出て、大学病院の地下食堂かどこか。
クラノスケ「その後、調子はいい?」
ヒロイン「うん。順調。あたし、しぶといから、あんまし問題おきないんだよね。クラノスケセンセイは元気だった?ちょっと心配してた」
クラノスケ「見てのとおり、ねずみのお医者さんだよ。さっきのとペアで実験の毎日だよ」
ヒロイン「少し、ヘンなこと訊いていい?病院やめちゃって生活とかどうしてるの?」
クラノスケ「医局長の口ききで、透析クリニックのバイトに行ってるんだ。夜だけ週3回。でもさ、時給で行ったら、病院で働いているときより、ぐっといいから、なんだかね、って感じ」
ヒロイン「クラノスケセンセイ、なんだかこの前より生き生きしてるみたい」
クラノスケ「そう見える?でも、僕、思うんだ。世の中の人って研究はバカバカしいって言うでしょ。試験管振ってるより、患者さんのベッドサイドにって言うでしょ。でもね、試験管を振ったり、ねずみさんのお世話をしたりする人間がいて、新しい病気のメカニズムの発見とか治療法の改良とかが出てくるわけじゃない?今は臨床はちょっとお休みをして、地道に世のためになる仕事だって思ってやってるよ。」
ヒロイン、ふーん、と言ってコーヒーを飲む。クラノスケは、大学の先輩が訴訟を起こされた後にうつ病になって自殺してしまったこと、自分の場合は、大学の医局が気を回してくれて、一休みポジションを与えてくれたので精神的にはなんとか落ち着いていること、などを話す。ヒロインは、“ある産婦人科医の死”が反響をよんでいること、なんだかこの1年弱で医療がおかれている現状について多くのことを学んだわ、と話す。クラノスケは意を決して、次は夜どこかで食事をしよう、とヒロインに言う。

ヒロインのマンション(実は結構散らかっている部屋なのであった)。デスクとヒロイン。
デスク「いよいよ来週だね。某掲示板にちょっと仕込んだよ。“これで有罪だったら、僕もうこわくて仕事できなくなりそうだから、来週は傍聴に行こうかな?”って」
ヒロイン「なにか釣れてきた?」
デスク「それなりに。お弟子の弟子ってのが書いての、ちょっと気に入ったよ。」
某巨大掲示板画面
“女子高生父もそろそろ、勢いで告訴したことをちょっと後悔してきてる頃かもしれません。もしもこれ読んでたら(読んでるわけ内科)、告訴をやめて、お遍路しませんか?僕も、僕を守ってくれなかった(怒)病院との戦いが終わった後、お弟子さんをまねてお遍路2回いきました。あたまの中がすかーっとなって、全ての光景が新鮮で心に刺さりました。朝早くから夜遅くまで病院の中にいると、青空の気持ちよさも、曇り空のゆううつも、雨ふりでがっかりもわかりません。女子高生父も他人の犯罪とか暗いニュースばっかり相手にしていないで、お遍路しましょうよ”
デスク「うちもさりげなく、毎朝新聞の報道姿勢を叩いてきたけれど、毎朝も最近はちょっと困ってるんじゃないかな?叩きすぎてさ、医療は崩壊の一途をたどるようになって、叩かなくても壊れていくから、叩く必要もなくなちゃったしね。マサミちゃんの件だって、告訴してみたのはいいけれど、勝ち目もあやしいようだしね」
ヒロイン「逆にネットでこれだけ叩かれちゃってるの、本人どれだけ知ってるのかしら。マサミちゃんも自分の父親が見ず知らずの人から頭おかしい扱いされてるの、きっとやだと思う」
デスク「クラノスケセンセイはどんな様子だ?こないだ研究室に行ってきたんだろ?」
ヒロイン「まあまあみたい。でも、ひょっとしたらもう臨床の現場には戻ってこないのかもって思った」
デスク、ヒロインのあごを持ち上げて、おまえひょっとしてクラノスケに惚れていないか?と言ってにやっといじわるっぽく笑う。

毎朝新聞社ロビー。スーツをびしっと着こなしたデスク。受付嬢に「約束していたものだが」と。
新聞社の一室。応接セットに座るのは、デスクとマサミ父のみ。女子社員はお茶を出し終わると室外へ。
マサミ父「お互い、こうして顔を合わせるのも久しぶりだ。“ある産婦人科医の死”読んだよ。なかなかの力作だ。うちの社でも話題になったよ。」
デスク「今日は、おせっかいに来た。大いなるおせっかいに来た。ここまで言えばわかるか?」
マサミ父「娘のことか?」
デスク「そうだ。お嬢さんの裁判のことだ。短刀直入に言う。告訴を取り下げろ」
マサミ父「それはたいそうずいぶんなことを」
デスク「裁判は誰のためにもならない。あなたの主張は医学的に見て、必ずしも正しくない。独りよがりで感情的だ。」
マサミ父、無言。
デスク「金なんて要らないんだろう」
マサミ父、無言。
デスク「クラノスケセンセイを追い詰めたいか?もう、追い詰められたよ。病院やめて、大学でねずみの世話係だ」
マサミ父、無言。
デスク「病院の名声を落としたいか?落としたからってどうにもならない。都立がどんどん駄目になっていて、◎◎総合には前にも増して、患者が集中してきている。ほかに行くところがどんどん減っているからね」
マサミ父、無言。
デスク「はっきり言うぞ。あの病院で何があろうとも、マサミちゃんは病気で死んだんだよ。それ以外のなにでもない。病気で天に召されたんだよ。病気のせいだ」
マサミ父、無言。

デスクが去った後。マサミ父はさめたお茶をすすり、頭を抱える。
机に向かい、ノートパソコンを開くマサミ父。某巨大掲示板の お弟子の弟子 の書き込みをじっと見ている。
マサミ父は目を閉じる。
(第11話 完)

<タイトルバック>

<エピローグ>
秋。 JJ学院チャペル。多くの友人たちに囲まれて、出てくる新郎新婦。クラノスケとヒロインである。人ごみから少し外れて、礼服を着たデスクがまぶしそうに新婦を見ている。デスクから少し離れて、やはり礼服を着たマサミの父。遠い目をしている。なぜかマサミ父の横にはさりげなく寺島しのぶがいてにこにこしている。

冬の朝、JJ学院校門。入学試験日のようである。デスクとデスクの妻、6年生らしい女の子。女の子の肩に手をやるデスク。「きょうは、実力をだして、がんばってきなさい」
女の子は、うん、といって駆け出していく。
女の子を見送ったデスク「ヘンな先輩みたいにならないようにね」とおおきく背伸びをしながら独り言。妻、えっという顔をする。デスク、ごまかす。
(完)
# by shy1221 | 2007-03-09 11:00 | TV、ドラマ、映画(冬ソナ以外)
第10話
県立病院の分娩室。赤ちゃんの誕生。ヒトリの満面の笑み。母親が涙ぐむ。助産師も涙ぐんでいる。
県立病院の医局研究室、ヒトリが溜まっていたらしいサマリーを書いている。荷物をまとめている途中らしく、すでに梱包されたラクテックか何かのダンボール箱が積み上げられている。まだ、荷物はたくさん残っている。
料理屋の2階。病棟の送別会のようである。
看護師長の挨拶。「皆さんも残念なことと思いますが、安全な医療を目指すという大学の方針と、将来的な県立病院の統廃合を視野においた県の方針で、先週の ○○さんのお産を最後に、もうこの病棟ではお産はとらないことになりました。ヒトリ先生が診ていた妊婦さんたちは県立A病院に移っていただくことになり、ヒトリ先生もお忙しかったのですが、なんとか、紹介状も全部だしました。ヒトリ先生はこの病院を辞められて、4月からは、ご実家の近くの○○大学病院で働かれます。○○さん、○○さんは県立A病院へ、○○さんは県立B病院へ助産師として移られます。○○さんは、新しいチャレンジということで、神奈川県の大学病院に移られます。○○さんは、これを機会にご家庭にはいられます。あと、何人かは助産婦が残りますが、一般の看護婦として引き続き病棟勤務をしますが、助産業務からは離れることになります。」師長は泣いてしまい、言葉が続かない。
病棟のメンバーもヒトリも泣いている。
病院の官舎。クロネコヤマトのトラックが止まっている。トラックを見送ったあと、RV車に乗り込むヒトリは珍しくスーツを着ている。私服の病棟メンバーらしい女が数人、ヒトリが運転するRVにさよならと手を振る。

海沿いの国道を走るヒトリのRV。とても気持ちの良い春の陽気である。
大学の医局。教授に挨拶をするヒトリ。元気でな、と何人かの医局員。
高速道路を走るヒトリのRV。ヒトリはびっくりするほど精悍な顔をしている。

クラノスケ外来。診察室に呼ばれるヒロイン。
ヒロイン「ずいぶん異動があるのね」
クラノスケ「まあね、あと、6月にも異動の科があるよ。常勤にしてもらっている科は結構6月異動だよ」
ヒロイン「ボーナスが出るから?」
クラノスケ「そう、ボーナスが出るから」
ヒロイン「クラノスケ先生は異動はまだよね?」
クラノスケ「うん、ボクは今年の9月異動だと思う。ボク、正規じゃないからボーナスないし。ヨシノさんとはあと半年のお付き合いの予定かな?この1ヶ月、変わりはないですかね?」
ヒロイン「変わりありません」
クラノスケ「白血球数もいいし、補体価もいいし、順調ですね」
ヒロイン「優等生ですから」
クラノスケ「じゃあ、今日はレントゲンとっていって、次は4週間後が連休にかかるので3週で来てね。今日と同じで診察前採血ね。で、薬は、………」

院長室。病院上層部が集まっている。ササノもいる。
院長の話。例の高校生の父親が、当院と主治医、すなわち、ササノ先生、クラノスケ先生を提訴してきた。ステロイド投与に伴ううつ状態を放置していたこと、カテーテル操作のあやまり、ということであるが異常死体の届出義務違反についても説明が欲しいと言ってきている。これは、ひょっとしたら、刑事も視野に入れられている、ということになるのかもしれない。父親は毎朝新聞のけっこうおえらいさんなので、頭が痛い。病院としては、一丸となって、ササノ先生、クラノスケ先生を守る方針である。

編集部。デスク「毎朝が出したよ」“カテーテルミスで◎◎総合病院と主治医2人を訴え”と見出しのある記事が載った新聞(記事は民事についてのみ)。「あの親父さん、ついにやっちゃったね。会社員51歳の長女なんて、毎朝新聞社の社員の長女だろうが。主治医って、ヨシノくんの主治医のことか?」
ヒロイン「そういうことになるわね」ヒロイン、しばし考えこむ。

ヒロインのマンション。ヒロインとデスクはワインを飲んでいる。
デスク「ヨシノからみて、主治医ってどうよ。悪いやつか?」
ヒロイン「ううん。働き者の小市民。損も徳もなく、山のような外来をこなして、病棟の患者の面倒をみて、透析当番の日は夜の11時まで必ず病院にいる。本当にミスだったとしても、故意にやったことじゃないはず。どう、考えても。それに、言いたくないことだけと、クラノスケセンセイは、しつこくしつこく、ステロイドを飲み始めたら、急にやめると死ぬこともあるって言ってた。どうやら、マサミちゃんはその約束を破ったわけでしょ。マサミちゃんのほうから、クラノスケセンセイを裏切っている部分もある」
デスク「ステロイドってそんなにウツになるもん?」
ヒロイン「クラノスケセンセイの言葉を借りると、文献的には一定の確率で、」と言って無言になる。
デスク「先週の毎朝の家庭欄で、“ステロイドとウツ”っていう記事があったんだ。もちろん、親父さんが書いたわけじゃないが、気になるな。今から思うと、ステロイドを内服中の患者が自殺したら、処方した医者の責任、なんてするために張った伏線かもしれないぜ」
ヒロイン、無言。
デスク「ほら、助産師がエコーしてる写真と一緒。毎朝新聞に書いてあることは、一般大衆にとっては教科書と同じで正しいことだ。真実に見える。でも本当か?違うだろ、お前の頭の中にあることを真実にするために書いてるだけじゃないか」
ヒロイン、無言。
会話が続かない。デスク「帰るわ」と帰っていく。

デスクが帰った後、ネットでサイトめぐりをするヒロイン。すでに1回見たページを見返しているようである。
某巨大掲示板の画面。
“◎◎総合病院カテーテル事件の真実って知ってる?”
“女子高生はJJ学院、かなりカワイイってJJOGのうちのねーちゃん。オヤジは毎朝新聞だって、サイアク。オヤジが権力つかって無理やり記事にしたと思われ。その証拠に毎朝新聞以外に記事なし”
“女子高生は自殺らしい。Churg-Strauss でテオドール飲んでた。再発を苦にして、テオドール一気か。テオドールでも死ねるんだってオモタ。女子高生も主治医もカワイソ。テオフィリン中毒なら痙攣しててもおかしくないから、ブラッドアクセスも難しいかも”
“ステロイド内服を中断していたらしい、ってわざとか?”
“某学会の東京中央部会で3月に発表されてる。発表、リアルタイムで聞きました。経過は迫力ありすぎでした。以下抄録コピー。……………..”
“◎◎総合、お祓い必要。去年、37歳の産婦人科医が癒着胎盤のオペ完遂後、SAHで死んでる。あの病院最近急がし杉。都立とかが駄目になったしわ寄せがきてる。産婦人科、帝切率40%越え目前との内部情報あり”
“抄録みても、ヘンな治療してるとは思えない。カテーテルの誤刺ではなく、出血傾向では?”
“もし、カテーテルミスがなかったとしても、助かっていたのか?女子高生。◎◎総合でなければ、透析までたどり着かなかったかも”
“世の中、毎朝新聞が真実だと思っているしあわせな人々大すぎ。個人的な恨みで記事書かれたらたまらん”
ふーっと息をつくヒロイン。

夜のバー、ヒロインとデスク。
ヒロイン「まるで、マサミちゃんがクラノスケ先生のせいで死んだ、と思ってるのよね、お父さん。でもね、あたし、マサミちゃんのお父さんの気持ちもわかる気もするの。だって、奥さんには、マサミちゃんの出産のときに出血多量で死なれてしまって、その後、再婚もしないでマサミちゃんを育ててきたのよ。マサミちゃんのお母さんは27歳だったんだって。マサミちゃんは女のあたしから見てもめちゃくちゃかわいかった。マサミちゃんはだんだんお母さんに似てきていたのかもしれない。マサミちゃんのお母さんは27歳から年をとっていないんだし」
デスク「そうだな」
ヒロイン「スミレちゃん(デスクの娘の名前らしい)がある日突然、心の準備がないときに病院で死んじゃったら、どんな気分になる?」
デスク「ヨシノには悪いけど、スミレはオレの命だから、たぶん死にたい気分になる。やっぱり医者をぶん殴るかもしれない、スミレを返せって。多くの場合、ぶん殴らなきゃならない相手は病気であり、運命であったりするんだけとね。」
ヒロイン、ちょっとさめた表情で「スミレちゃんとあたし、どっちがかわいい?」
デスク「そりゃ、スミレがかわいい」

JJ学院の一室。シスター穂刈とヒロイン。
シスター「あなたのことは良く覚えているわ。道に箱が落ちていたら、足を止めて箱を手に取り蓋を開ける。でも中身はとんでもないもので卒倒してしまう。でも次の日も、道に箱が落ちていたら、足を止め箱を手に取り、を繰り返す、そんな生徒でしたね」
ヒロイン「今日は、誰に相談したらよいのかわからなくて、でも、私の考え方の基本はここにあると思ってきました」
シスター「話してください」
ヒロイン、話を始める。入院先の病院でマサミと出会ったこと、だんだんマサミと打ち解けてきたこと、マサミがレイプ被害にあったこと、このことはマサミの父親には話していないこと、その後のマサミはヒロインの目から見たら比較的元気に見えたこと、マサミがおそらく自殺したであろうこと、マサミの死についてマサミの父が民事訴訟をおこしたこと、クラノスケはごく普通の真面目な医者であること、などなど。シスターは傾聴している。
ひととおり話を聞いた後、シスターは言った。マサミさんの不幸な事件については、あなたの心の中にしまっておきなさい。マサミさんのお父さんをこれ以上苦しめることはありません。マサミさんは自分の尊厳を奪われて、自分に刃を向けたのでしょう。マサミさんのお父さんは、一番大切なものを失って、その絶望と恐怖から、目を閉じたまま刃を振り回しているのかもしれません。あなたがお話してくれたように、マサミさんを失ったことを受け容れられずに一人で苦しんでいるのだと思います。私たちにできることは何でしょうね。私は6月の学園祭にお父さんをお招きして、マサミさんの日常について思い出を話し、一緒に祈ろうと思います。

夜のイタリアンレストラン(いつかヒロインとマサミがランチを食べた店である)。ヒロインとデスクが食事をしている。ワインが開けられている。
デスク「マサミちゃんのパパを救え、か。重いな」
ヒロインは無言のまま、メインの料理を食べている。

ホテルの一室。ヒロインとデスクはベッドの中にいる。
デスク「やってみるか?“大好きなクラノスケセンセイを救いたかったら、まずはマサミちゃんのパパを救え”か?」
ヒロインはデスクの胸に顔を埋める。

病棟でクラノスケは電子カルテに入力をしている。
時計に目をやり、病棟を出て、管理棟の小会議室に行く。
副院長と弁護士らしい男、プリントアウトしたカルテらしい書類を広げて、あれこれ。

朝、クラノスケのアパート。クラノスケ、目を覚ます。枕元の目覚まし時計に手をやる(目覚ましが鳴っているわけではない)。まだ、5時半である。布団をかぶり、目を閉じるクラノスケ。

病院の医局で、エクセルシオールカフェかどこかで買ってきたようなサンドイッチを食べているクラノスケ。歯を磨き、時計に目をやる。8時15分である。聴診器を首にかけ、文献をわきにかかえて、医局を出て行くクラノスケ。
(最終回に続く)
# by shy1221 | 2007-03-06 10:00 | TV、ドラマ、映画(冬ソナ以外)
クラノスケ、ササノ、ICU専任ドクター、マサミの父。
ナースステーションでマサミの父に経過説明をしている。ササノがクラノスケのわき腹をつつく。クラノスケ「ボクはマサミさんの経過に納得しきれていない部分もあります。マサミさんの病気は若い女性としては結構珍しいです。今後の同じような病気や同じような病態の患者さんのためにも、マサミさんの病理解剖をお願いできないでしょうか」マサミの父、わかりました、とうなずく。

病理解剖室。ガウンを着ているのは病理医とクラノスケ、ササノの3人。少し黄色みをおびて硬く光るマサミの肌。

透析室で、電子カルテの画面に向かっているクラノスケ。ピッチが鳴る。「センセイ、そろそろお見送りです」
霊安室のドアが開き、葬儀社の社員が入ってくる。マサミの遺体が葬儀社の車に載せられる。マサミの父「本当にありがとうございました」
葬儀社の車が走り出す。車が角を曲がるまで、クラノスケ、ICUの医師、マサミが入院していた内科病棟の看護師長、ICUのナースが深々と頭を下げている。
一同解散。看護師長は涙をためている。クラノスケの目にも涙が浮かんでいる。「なんやかんや言いながら、センセイ、マサミちゃんのこと、いつも気にしていたもんね」

編集部。デスク「“検証 妊婦はなぜ18病院から断られたのか”は反響すごいね。だまっていてもヨシノくんの読者が情報を提供してくれるよ。あちらさんの記事の主張をひとつひとつ論理的につぶしていく、快感だね」
ヒロイン「でも、そろそろ私も重くなってきた。“ある産科医の死”、そろそろ書かせてよ。うーん、テルユキセンセイが死んだ日のこと、その前の日の手術の前の様子のこと、某巨大掲示板に誰かが詳細に書きこんでいたのは、すごいショックだった。これ書いていったん終わりにして、じゃあ次は財務省シリーズとかすればいいじゃない。なんだかつらくて」
デスク「そーお?僕としてはさ、もう少しがんばってもらって、3月になら許可かな。3月にぶつけよう。この春には全国の産科・小児科がどんどん終わりになるようじゃないか。産科医も死んだし、産科医療も死んだ。願わくは花の下にて春死なん その如月の望月の頃、と」
ヒロイン「デスク、勝手なんだから」とため息。
ヒロインの携帯が鳴る。ヒロイン、廊下に出る。マサミが亡くなった。マサミは少しかたくななところがあって友達が少なくて心配していた。マサミはヨシノさんをとても慕っていたようだ。お通夜が明日で葬式が明後日。身内だけで行うけれど、来ていただけないか、とマサミの父の声。

お通夜。何人かの制服姿の女子高校生。シスター穂刈。そしてヒロイン。
テルユキのお通夜とは対照的なささやかなお通夜。ちょっと迷ったけれど、お通夜ふるまいの席には出ずにそっと帰ってくるヒロイン。

産科病棟。クラノスケが回診をしている。
クラノスケ外来の前。今日も診察は遅れているようだ。やっとヒロインが呼ばれた。
ヒロイン「マサミちゃん、どうして亡くなったの」とクラノスケを少し責める口調
クラノスケ「守秘義務」
ヒロイン「マサミちゃん、クラノスケ先生のようなお医者になりたい、勉強して群馬大学に入るって言ってたのよ。キミコさんも死んじゃう。テルユキ先生も死んじゃう。マサミちゃんも死んじゃう。あたし、気が狂いそうだわ」
クラノスケ、無言で電子カルテ画面をみている。

ヒロイン、マサミと一緒に移っている携帯の写真を見ている。マサミちゃん、わたしはどうしてあげればよかったの?あのあと、私には助けを求めてくれなかったじゃない。どうして、いっちゃったの?ヒロインは泣く。

医局。産婦人科部長とササノがコーヒーを飲みながら話をしている。
部長「テルユキくんの親父さんがすっかり気落ちしていてね、もうお産をやめることになった。こんなご時勢だし、もともと後を継がせる気はなくて廃業の準備は内々にはじめていたんだが。助産婦もパートをいれて4人だったし、H病院の件もあったし、予定より早くやめることになった。5月末までは自分のところで分娩を扱うけど、それより先は僕のところと○○センセイのところ、××病院で面倒みることになった。テルユキくんの親父さんのところは基本的にローリスクだけだったけど、それでもあの年で年に180例みてらしたから、結構痛いよ。」
ササノ「弟さんも後を継がないのか」
部長「ヒトリくんも県立病院の1人医長でそれはひどい生活をしているらしくて、これを機会に春にこっちに戻ってとりあえず大学(の医局に)にきたらどうか、と親父さんは考えてるらしい。まあ、ヒトリくんが抜けたりすれば、あっちの大学には痛手だろうけどね。ヒトリくんの大学は今年は入局者が2人だったそうで、週末の代診も月1回なのだそうだ。ひどい話だ。ウチの上のも、ヒトリくんの大学の5年だろ、卒業したらさっさと帰ってこいってきつく言ってあるよ」
そこへ副院長が入ってくる。「ササノ先生、あとでちょっと」

院長室。院長のほか副院長、看護部長、事務長らしき面々。
「きみのところで亡くなった高校生の親が○○法律事務所を通じて、カルテ保全の申し立てをした」
ササノ、無言。
# by shy1221 | 2007-03-04 09:00 | TV、ドラマ、映画(冬ソナ以外)